本研究では, 打楽器の形状と音色のデザインを効率的に行うために, コンピュータによって物体形状からそれを叩いたときの音色を計算する順解析と音色からそれを再現可能な物体形状を推定する逆解析を交互に行い, その支援を行うインタフェースを提案する. 本インタフェースでは, ユーザが物体形状を編集した場合には音色を, 音色自体を編集した場合には対応する物体形状をそれぞれインタラクティブにユーザにフィードバックする. 従来の打楽器を始めとする生楽器の設計では形状データの作成, 解析による確認, 出力による評価の3段階のプロセス間の非常に煩雑なトライ¥&エラーを繰り返す. これを効率化するために, 形状モデリングと同時にその音を解析して, 結果をインタラクティブにフィードバックするインタフェースも過去に提案されているが, 提示された情報を基にユーザはさらにどのような操作を加えれば目的とするものに近づけていくことができるのか, ということを判断するのは困難であるという問題がある. 本システムでは提示された音色情報自体をさらにユーザが編集してその影響を物体形状に反映させることを繰り返すことによってこの問題を解決する. 本稿で提案するような順問題と逆問題を相互に解いてデザインの支援を行うアプローチは楽器のみならず多くの一般的な製品の設計においても役立つ可能性がある.
順解析と逆解析を相互に利用する打楽器のインタラクティブなデザインインタフェース,
山本 和彦, 五十嵐 健夫WISS 2013 第21回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ. PDF
Kazuhiko Yamamoto (Yamo)
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